イチリンソウの里


 台地の斜面に広がる雑木林の一角に群生する、キンポウゲ科のイチリンソウ。川口市北東部の安行原(あんぎょうはら)地区に広がる安行武南と呼ばれる地域は、見沼代用水東縁と東の綾瀬川にはさまれた台地で、川口、鳩ヶ谷、さいたま(旧浦和)の3市にまたがっている。

 さいたま・野田の鷺山、川口・赤山のサクラ、安行の植木畑という代表的な光景があった。しかし、いまや、県内初の地下鉄「埼玉高速鉄道・彩の国スタジアム線」の開通とそれに伴う宅地化、日韓W杯サッカーの会場地の一つである、埼玉スタジアムの出現と道路整備などで大変貌をとげつつある。

 見沼代用水の原風景が残る最南端の地、旧大宮、旧浦和から連なる台地の一角にあたる安行地域。「みどりのまちづくり協議会」や住民らが、この東京圏に最も近い、緑の回廊として貴重な森を残そうと、安行中学校北東斜面に広がる雑木林「赤堀用水沿斜面ふるさとの森」の整備を、市のバックアップを得ながら進めている。

 赤堀用水や、林から涌き出る清水が潤す湿地では、コサギなどの野鳥が舞い降りる。この一角で、「埼玉県絶滅危惧植物リスト」で「準絶滅危惧種」に分類されるイチリンソウ(キンポウゲ科)の自生地=写真上、2003年4月13日撮影=が、守り育てられている。木橋を渡した遊歩道が造られ、トンボやホタルを呼ぼうと、清水のたまり水を生かした池の整備も着々と進んでいる。

 イチリンソウの自生地は、県北部の雑木林に点在するが、安行原の自生地は、県内最東南端に位置する。2002年3月22日、川口市の天然記念物に指定された。
 この指定を機に、「心のいやし」イチリンソウを積極的に保存し守っていこうと、協議会の会員らが「保存会」を結成、開花期には、現地で会員の募集も行われた。

 自生地一体が今年初め、県・市有地となったことから、地元の緑化団体「みどりのまちづくり協議会」が自生地の管理を市から委託され、イチリンソウの保存活動は保存会から協議会に引き継がれた。

イチリンソウ  ■イチリンソウ
  • 和名:イチリンソウ(キンポウゲ科)
  • 一名:ウラベニイチゲ 裏紅一華
  • 学名:Anemone nikoensis Maxim(アネモニ ニコエンシス マキシム)
  • 花期は、4月上旬から中旬ごろ 花は一茎一花(まれに2花)

 花弁のように見えるのはがく片で、花弁はない。
 がく片は内面は白色、裏面は淡紅色である。
 花経は5cmを超えるものがあり、他の場所のイチリンソウより大きい。埼玉県の準絶滅危惧種に指定されている。
 イチリンソウが安行に生育していることは大変貴重であり、今後も大切に守り育てたいものです。(協議会相談役 西川昭三さん)




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