「入船うどん」 上
新潟港の出入り口。大きく広がる信濃川の両岸にある二つのタワー、「山の下みなとタワー」と「入船みなとタワー」は、港を行き来する船にとって、港を示すシンボルタワーでもある。
二つのタワーは、全長1・5キロほどの海底トンネル「新潟みなとトンネル」を走る車の汚れた排気ガスを外に出す「立坑(たてこう)」という換気塔の役割を担っている。新潟島、古町側にある左岸のタワー「入船みなとタワー」のすぐ下に見つけたのが「入船うどん」店だった。
街中ウォッチングをかねた早朝のウォーキング。トンネルに通じる車道を歩くと、いつも見かけるのが矢印と5文字で書かれた、この店の看板だった。そして、店を訪ねると、(早朝のため)いつも店が閉まっていた。
今朝は開いていた。初めて店に入る。午前7時前だった。やや日に焼けた店主がいた。
うどんを注文したらまだできないという。開店は午前11時、店の準備を始めたばかりなのだ。
仕方ない。自動販売機の缶コーヒーを飲もうとしたら、
「(うどんの)湯がわくのは1時間ほどかかるけど、そうめんだったらできるよ」
店主が申し訳なさそうに声をかけてくれた。
メニューの自動券売機で券を買おうとしたらメニューに出ていない。
「(代わりに)うどんの券で買ってくれればいいよ」
そうか、“特注メニュー”なのだ。券売機で券を買ったら、直径2.5センチ、長さ12センチほどの円筒状の木にはられた「うどん」のチケットが出てきた。調理場前のチケット置き場に置いたら、なるほど置き易い造りのチケットだった。
店にテラスがあり、テーブルといすが並んでいた。テーブルは朝露に濡れていた。テラス席からは、お隣のタワーの敷地では雑草が生い茂り、その奥に、港に出入りする佐渡島定期船やいか釣り船、モーターボートなどが見える。燦燦と朝日を浴びながら缶コーヒーを飲む。店の奥さんが朝刊を持ってきてくれた。だれも目を通していない真新しい折り目のついた新聞だった。
新聞を読みながら、待つこと15分。そうめんが出来上がってきた。店の主人がテーブルに置く。
「このめん、小豆島のものだから100円プラスしてよ」
<なんてこった。客の顔色みながら売る店なのかよ>
不快感を覚える。しゃくなので、100円玉でなく50円玉2つを渡す。
ぶっかけめんでかに風かまぼこに玉子の厚焼き、小口切りのネギにすったしょうががついていた。細いめんでも腰があり、つゆは口にぴったしあう濃さだ。しょうゆが元だが薄味で関西風だった。そうめんはおいしかった。
「客の顔色を見る店」と思った店の第一印象は、のちに見事に覆された。(続く)
◇「入船うどん」店 【所在地】
新潟市中央区海辺町一番町3788−2(電025-225−6085)
(2006.6.24記、2007.10.27修正)
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