クワの実

クワの実

新潟市中央区の信濃川左岸、高層住宅の目の前の岸辺に立つクワの木の果実が熟しはじめた。護岸に1本だけ立つ高木は、川面を行きかうモーターボートや吊り船には格好の目印となっている。早朝には実を採取していく中年の女性もいる。

カイコの餌として養蚕には不可欠なクワだったが、県内の絹織物発祥の地とされる旧栃尾市(現長岡市)ではそのクワが自生し、養蚕業が盛んになる基になった。クワは、地図記号にもなるほど一時は全国各地の中山間地域でよく植えられていた。しかし、合成繊維や化学素材が登場し、養蚕農家では作業者の高齢化や後継者難から、養蚕業はほとんど姿を消し、クワ畑も激減してしまった。

カイコが食べる葉には、血糖値の上昇を抑える薬効がある。初夏に黒く熟した実を収穫しては、ジャムやワインの食材として古くから利用されてきた。

茨城県つくば市にある独立行政法人「農業生物資源研究所(旧農水省蚕糸・昆虫農業技術研究所)」では、経済作物として、このクワに着目して、中山間地域などでの景観維持や傾斜地の流土防止などに活用できないものかと、研究が進められているという。

護岸に立つクワは、養蚕農家や養蚕業の名残として植えられたものなのか。これから再び脚光を浴びることになるのだろうか。

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サイトを訪れてくださった方から、こんなメールをいただきました。

「桑の実の写真を見て、思い出したのだが、赤とんぼの歌。桑の実を食べた昔を思い出すような歌詞があったけれど、桑の実の季節が初夏なら、あの赤とんぼの歌の季節も夏ということになるのだろうか。赤とんぼはアキアカネだと思っていましたが、この季節違いをどう解釈するのでしょか」と。

早速調べました。

「夕焼け小焼けの赤とんぼ」で知られる懐かしい童謡「赤とんぼ」。その歌詞に「山の畑の桑の実を小かごに摘んだはまぼろしか」とあります。

山田耕筰作曲、三木露風作詞のこの曲は、三木が1921年(大正10年)に、故郷の兵庫県龍野町(現たつの市)で過ごした子供の頃の郷愁から作ったと言われ、1927年(昭和2年)に山田が曲をつけました。

クワの実は初夏から盛夏にかけて熟し、黒くなると食べごろです。長い日本列島ですから北から南だとやや季節に差があるでしょうが、季節は夏と考えてよいと思います。

赤トンボはトンボ科アカネ属のトンボの総称で、狭義には秋に平地で群れ飛ぶアキアカネを指すようです。とすると、クワの実と赤トンボと季節のずれが生じます。赤トンボは秋だけ飛ぶのでしょうか?

ネットで調べましたら、回答がありました。

「アカトンボの話」からの引用です。「ウスバキトンボは体育大会の練習が行われる9月の中ごろ、運動場を群れをなして飛ぶトンボです。ショウジョウトンボは初夏から夏にかけて、ため池や学校のビオトープで見られる真っ赤なトンボです。これらはよくアカトンボといわれますが、正しくはアカトンボではありません」……。

体色が赤くなるトンボは初夏にもいるということです。三木が見た赤トンボは、場所(兵庫県)を考慮すると、おそらく「ショウジョウトンボ」だったのではないかと思います。

勉強になりました。ご質問、ありがとうございました。(7.4記)


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