雑木林 95号 OCTOBER 2008
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道しるべ
アケビは、漢方薬として利尿、鎮痛などに効用があるといわれます。漢方薬の成分に「木通(もくつう)」とあるのは、「木通(あけび)」が本来の読みです。
日本全土に分布のアケビですが、食用にしているのは主に東北地方、なかでも山形県に集中しているそうで、十数年前からは栽培も行われています。全国の生産量は年間百八十トン程で多くは山形産です。
春の新芽は山菜に、蔓はアケビ細工に、上品な甘さの果肉はおやつに食し、ほろ苦い果皮は手料理のさまざまになります。
《俳 句》 〜敬称略〜
| 山菜は出たか産直道の駅 | 秋田市 村山恭一 |
| 晴れるまで一歩進まず山の霧 | 東京都 佐々木いつき |
| 赤とんぼ五七調の露風の詩 | 〃 |
| 秋分や血は争えぬ話し好き | 秋田市 富谷慶輔 |
| 暁は宵より淋しい鉦叩 | 〃 |
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| 秋日和農家は急ぐ収穫(とりいれ)に | 仙北市 高倉利雄 |
| 朝顔の大輪を植う六寸に | 〃 |
| 山野草古代の命継ぐ如く | 大仙市 伊藤優子 |
| 一杯の清水に命みずみずし | 〃 |
| 伊豆箱根富士さえ低く鰯雲 | 神奈川県二宮町 高岡芳恭 |
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| 包丁の音止みにけり虫時雨 | 福島県郡山市 伊藤和代 |
| 敬老の集い他人事山椒の実 | 〃 |
| 頬杖をついて数珠玉熟むをみる | 千葉県松戸市 古澤 和 |
| 秋の風野分の如く身をせめる | 愛知県豊川市 太田勝己 |
| 枯れ落葉きょうは舗道の地をかくす | 〃 |
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| 雁渡る俯瞰の中に海も消え(八幡平にて) | 広島市 菅原敏行 |
| 早昼も刈り残してや田一枚 | 〃 |
| 人は皆それぞれの道山粧ふ | 秋田市 樋渡亮英 |
| 湖の幽かなる声初紅葉 | 〃 |
*投句ありがとうございました。
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《歳時記一言》 〜遊戯の季語〜
芋煮会。里芋の熟するころ川原などに鍋釜を据えて芋、肉、茸…など
煮込んで囲み親睦を深めます。東北地方で盛んな行楽の一つです。
| 月山の見ゆと芋煮てあそびけり | 水原秋桜子 |
| 芋煮会風にさからふかまど口 | 青柳志解樹 |
おたより 投書欄
★ 九四号を有難うございます。94…といえば100に近い数字、来年のうちには百号になるのでしょうか。お一人の手で、よくぞここまで続けて来られましたね。こういう数字を見ると愛読者の一人としてぜひその時まで、と思うものです。
今年は冬が早いとのニュースを見ました。爽やかな秋を楽しみ紅葉のたよりを待つ昨今です。 (東京都 鷲尾千菊さん) |
紫式部の偉業「源氏物語」
今年は源氏物語千年紀として喧伝されています。
日本が誇る世界最古の大恋愛小説「源氏物語」が書かれてから、およそ千年目にあたっており、あらためてゆかりの地が浮き彫りになりました。
いづれのおんときにか…の書き出しで始まる傑作長編は、紫式部という子持ちの一寡婦によって果たされた偉業でした。
トルストイの「アンナ・カレーニナ」、ドストエフスキーの「罪と罰」、スタンダールの「赤と黒」…等々、長編傑作に挙げられる西洋の小説より八世紀も早く、東洋は日本の王朝華やかなりし平安時代に「源氏物語」は誕生していました。
一帖ごとに帖名がついた全五四帖は、光源氏誕生前から四代にわたり、登場人物も四百数十人に及んでいます。故に、「到底女一人の手では書けないだろう」、「作者は紫式部一人ではなく複数ではないか」、といわれたりしますが、あくまで想像と仮説から出たもので根拠は無いようです。
平安時代の風物と命の輝き、出家による魂の救済、仏教の深遠が随所に読みとれ、比叡山の高僧が物語の終末を支えています。
長編の恋愛小説を通し生命の尊さや理想の人間像、宗教のあるべき姿等、紫式部のメッセージは千年を経て伝わってくるようです。
たなばたの逢瀬は雲のよそに見て
別れの庭に露ぞおきそふ 〜源氏の院 晩年の詠歌〜
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